「生活保護問題」一番の問題は不正受給なのか

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生活保護は必要な人にとっての生命線となる

不正受給をして私腹を肥やす者。

受給者を食い物にして生活保護ビジネスを企てる者達。

こういった人達が跋扈しない様に、不正を追求すべきであるのは大前提です。

しかし、それよりも、保護を受けるべきであるにも関わらず、受けられずして失われる人命に、目を向ける事こそが最優先だと感じます。

http://nikkan-spa.jp/231220

「生活保護の受給申請に行っても、必ずといっていいほど窓口で『働きなさい』と突っぱねられます。受給申請に行く頃には、住所や携帯電話もなくなっている場合も多い。そんな状態で雇ってくれるところはどこもありません。仕方なく受給申請に行っても、役所の人は『何しに来た』と罵倒するなど高圧的な態度を取って、わざと申請者を怒らせて自ら帰らせることもあります。女性に対しては『体を売ればいい』と暴言を放つ例もあると聞きますが、これも怒らせるためなのかもしれません」

http://www.nomaddaemon.jp/2008/01/16/%E6%B5%9C%E6%9D%BE%E5%B8%82%E3%81%AE%E8%81%B7%E5%93%A1%E3%81%AF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%82%92%E8%A6%8B%E6%AE%BA%E3%81%97%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%8B%EF%BC%9F/

<野宿女性>浜松市役所に運ばれ死亡 「あと一歩」対応なく
1月16日2時31分配信 毎日新聞
浜松市で昨年11月、空腹のホームレスの女性が市役所に運ばれ、福祉担当職員らが取り囲むなか心肺停止状態となり、翌日死亡した。敷地内の路上で寝かされ、市が与えた非常食も開封できないまま息絶えた。「すべきことはやった」と市は説明する。だが、なぜあと一歩踏み込めなかったのか。女性の死は重い問いを投げかけている。

http://nikkan-spa.jp/231223

◆京都・母親殺害事件(’06年2月)

認知症の母(86歳)の介護と貧困に追い詰められた無職の男性(54歳)が心中を図り、母親を殺害。男性は行政に相談していたが、生活保護について十分な説明を受けていなかった。

◆北九州・門司区餓死事件(’06年5月)

市営住宅に住む障害者の男性(56歳)が、役所に生活保護の申請書を交付してもらえず餓死。前年にはライフラインが止められており、栄養失調で病院に搬送されていた。

◆秋田・練炭自殺事件(’06年7月)

強い睡眠障害で働けず車上生活を送っていた男性(37歳)が2回生活保護を申請するも却下。「俺が犠牲になって福祉をよくしたい」と市役所の駐車場に停めた車中で練炭自殺。

生活保護の不正受給の犠牲者は、一体誰なのでしょう。

https://www.kouiki-kansai.jp/data_upload/1378455451.pdf

生活保護の財源は、国庫負担と地方負担ですので、もちろん、納税者もその内の一人なのでしょう。

しかし、一番の犠牲者は、本当に保護を受けるべき人達だと思います。

不正受給が騒がれる事で、生活保護受給者に世間から偏見の目を向けられる事が懸念されます。

「あの人も不正受給しているんじゃないか」

「この人は不正に受給しようとしているんじゃないか」

この様に、一部の不正受給者が目立つからと言って、受給資格がある人達までもが偏見の目を向けられるのは、甚だ迷惑な話です。

生活保護バッシングをしている人の中には「我々の血税が注がれている」と声高に叫ぶ人がいます。
確かに、生活保護の財源には税金で賄われている部分はあります。

しかし財源に税金をあてがう事は、当然ではないでしょうか。

例えば、国民健康保険は、被保険者が納める保険料を財源とし、医療費負担を軽減しているのです。
国民年金も、年金保険料を納める事などで財源を確保しています。
(現状の年金制度にも問題はあると感じます。)

窓の向こうの景色
ブログの記事数を水増しするために、今から4年前(2011年)に私が寄稿した年金に関する記事を原文まま転載します。 とある部...

車を運転するなら、自賠責保険以外にも、任意保険に加入しますよね。
皆さんは、今後、事故を起こすことを前提で加入するんでしょうか。

家を買ったなら、火災保険や災害保険に加入しますよね。
皆さんは、今後、家を失うことを前提で加入するんでしょうか。

違うはずです。「もしもの時に供えた保険」のはずで、「もしも」が起こる事は「万が一」だと考えているはずです。
生活保護受給者の多くは、望んで受給しているのではなく、想定外の「万が一」だった「もしも」の事が望まずして身に起こった人達だと思います。

生活保護は、受給の条件を満たせば「無差別平等に受けることができる最後の命綱(セーフティネット)」です。
受けるべき人が、その命綱を絶たれるとどうなるのか、それは冒頭のリンクでご紹介した悲しい事件に発展するのです。

税金は、誰のために納税するのでしょうか。公共の利益とは、なにを指すのでしょうか。
セーフティネットとは、誰のために存在するのでしょうか。
社会福祉の恩恵に預かっていないと言い切れる人はいるのでしょうか。

参考資料 [PDF]

【生活保護費と財源保障】
東京大学大学院経済学研

http://www.cirje.e.u-tokyo.ac.jp/research/dp/2011/2011cj236.pdf

それでも何故、批判の声が挙がるのか

命を繋ぐための生活保護を受けられずに亡くなられる人がいるという現実があります。

それなのに、なぜこうも生活保護受給者に批判が声が向けられるのか。
一つは、前述したように不正受給が原因でしょう。

そこに、最低賃金の問題も加わったり、年金の受給額の問題も加わったくるのかも知れません。

2015年の現在、最低賃金の月額平均がおよそ12万円半ばと言われています。
生活保護の受給月額の平均額は、地域や世帯によって差はありますが、およそ月額12万円弱と言われています。
生活保護の場合、そこに加え、医療費が免除されます。

老齢基礎年金や障害基礎年金の2級を例に挙げると、月の支給額は約65,008円と言われています。

「ワーキングプア状態で必死に働いて12万円ほど。」
「必死に保険料を納めてきたのに、受け取れる年金額が6万5千円ほど。」
「だったら、生活保護を受けた方が楽だ。」

この様に思うのも、ある意味仕方がないのかも知れません。

しかし、前述した通り「生活保護は最後の命綱」です。

保護を受けるべき人は、生活保護が受けられるかどうかをケースワーカーなどによって審査されます。

基本的に、その大半は審査を経て正当に保護されており、不正はごくごく一部です。

しかも、その不正は「生活保護ビジネス」を企てる黒幕が引き起こしている可能性も大きく、その駒に使われている人もまた犠牲者だといえます。

それでも、まだ生活保護不正受給者を過剰に叩くのですか。

問題を解決するために、あなたが叩くべき相手とは、本当は誰なのでしょう。

明日は我が身と考えてみましょう

逆に考えて下さい。
あなたが、突如、働く事ができなくなり、受けられる社会保障制度も見つからず、援助してくれる身内もおらず(身内の援助は必ずしも必須ではない)、売却する固定資産もない状態(持ち家があっても保護は受けられる)に陥った時、それでも生活保護に頼るのは甘えだと言えますか?
生活保護は最後の命綱だと感じませんか?

セーフティネットは、転ばぬ先の杖です。生きていくための保険として、予め担保されるべきなのです。

最低賃金の問題や、年金の問題も、我々に課せられた難題です。
しかし、生活保護とそれらは別問題であり、切り離して考えるべきです。
生活保護の受給条件を厳しくする事や、生活保護受給額を引き下げることで誰が救われるのでしょうか。ワーキングプアで喘ぐ人や、年金受給額が低い人は、生活保護受給者が減れば、満足して溜飲を下げるのでしょうか。

皆さんが取り組むべき問題は、最低賃金を上げることや、年金受給額を上げることではないでしょうか。
生活保護受給者を叩いていても、何も解決しません。

本当に必要なのは、受給額を減らすトップダウンではなく、最低賃金や年金受給額を上げるボトムアップなのです。

大切なのは批判ではなく考えると言う事

今の制度を改善するべく見直す事が必要なのかも知れません。

または、新たな制度を考える事が必要なのかも知れません。
例えば、過去に話題となったベーシックインカムなどもその一つで、まだまだ議論の余地はあるでしょう。

そしてここからは、私が考えた案です。
生活保護の財源と年金の財源を一元化した「生活保護年金」というのはどうでしょう。

年金は、保険料を25年以上納める事で受給できます。
(老齢基礎年金の受給資格期間を25年から10年へ短縮する事が議論されています)
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/16.html

しかし、保険料を納める事が困難な場合は、保険料免除や納付猶予の制度があります。
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html

障害(基礎)年金は、障害を負った人が、20歳から60まで受給できる年金です。
これらの様に、現状の生活保護受給資格相当の条件に該当する人は、当然の権利として年金という形で受け取れる様にするのはどうだろうかと、私は考えます。

この私の案は、色々な事を勘案するとまだまだ詰めが甘いのかも知れません。
しかし、世の中の批判に晒される受給者や、批判を恐れて受給できない人を慮って考えた末に導き出した案です。

生活保護受給者への批判を口にする前に、皆さんも何か改善案を考えましょう。
足の引っ張り合いは、誰も救われません。

問題意識を持ち、皆さんの叡智が結集された時、我が国の社会保障制度はより良いものへと改善されるのだと思います。

延いては、あなたの将来や次の世代にとって、明るい未来を築く事ができるでしょう。

http://www.huffingtonpost.jp/2015/12/19/poverty-single-mother_n_8846830.html http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/23/seikatsu-hogo_n_14329116.html

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